鶏と犬

移転しました。

25年前この地に入植したころ鶏を飼って暮らしを支えていた時期に、イタチや狐に一晩のうちに十数羽の鶏を殺され、それが何日か続いて養鶏と我が家の経済が危機に立たされたことがありました。鶏舎を直そうにも構造そのものに欠陥があり大掛かりな修理が必要だったので、番犬を飼うことにしました。
犬を買うのは子供のころからの夢でした。私の母が犬嫌いだったのでいくら頼んでも許してもらえませんでした。だから大人になって田舎暮らしが出来るようになったら犬を飼うんだと決めていました。しかし今度は妻のかおりが子供のころ目の前でかおりのお姉さんが犬にかまれたという経験をして以来の犬恐怖症。折角、田舎暮らしが出来るようになったのに、犬を飼えない日々が続いていました。
しかし、鶏が大量に殺されて現金収入の道が閉ざされかけた状態で犬が好きだ嫌いだと言ってられなくなり犬を飼い始めました。
鶏は、雛から育てて卵を産んでくれるようになるまで半年以上かかります。 つまりこの半年間はエサ代だけかかって収入はありません。
本当に苦しい半年間でした。そしてやっと卵を産んでくれるようになりました。そんな矢先イタチや狐に殺された時はほんとうに情けない悔しい思いをしました。
しかし犬を鶏舎の周りで飼うようになってイタチや狐の被害はなくなりました。
鶏を守れる様になった事と念願かなって犬が飼えるようになったことが重なって本当に嬉しかった気持ちは今でもはっきり覚えています。またこのときの失敗から大工の腕前もあがりましたし大工仕事も真剣に学び始めたきっかけにもなりました。
まさに『必要は上達の元』を身をもって学びました。
あれから二十数年毎日背負って鶏舎に連れて行ってた娘がニュージーランドから帰国してから4年間鶏の世話をしてくれていました。
その娘も来月わらを巣立ちます。来月から鶏の世話係りは、私にバトンタッチされます。 ちょうどそんな折我が家にかわいい犬が仲間入りしました。
名前はクロ。私の毎朝の日課の散歩にいつもついてきてくれます。
鶏のエサやりも水やりも一緒です。
時々、二十数年前にタイムスリップしたような感覚に陥ります。
WARA倶楽無のスタートの時に鶏と犬のお陰で思考だけでなく感覚やスピリッツまでよみがえり気持ちを新たにする事が出来ました。
ニワトリさんクロちゃんありがとう。